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国際水土グループ


日本の「水土」と世界の「水土」


 開発途上国では人口増加により増大する食料需要を背景とした食料の安定供給や気候変動等の影響による自然災害への対策が課題となっている。一方でアジア諸国のめざましい経済発展は我が国の農業分野に大きなビジネスチャンスを与えている。
 国際水土グループでは、主に稲作農業が主体である東南アジアを調査研究の対象とし、食料生産の拡大に不可欠なかんがい用水の効率的利用を実現するための参加型水管理の普及、防災対策が遅れている農村地域での住民参加による防災計画の構築、我が国が有する農業インフラシステムを海外展開するための実証調査等を実施している。また、関係各国の中央政府や地方政府との間で農業農村の整備及び振興に関するセミナーを継続的に開催し、情報交換と技術交流に取り組んでいる。

最近の主要な研究実績

−土地改良区の知見を活用した参加型水管理の推進に関する調査−

 東南アジアの水田農業国においては、かんがい施設の整備が進められつつあるが、建設後の時受益農家による持続的な維持管理体制(参加型水管理)を構築することが課題となっている。
 本研究所では、参加型水管理のモデルである日本の土地改良区の知見を活用する方策を検討するため、タイ王国およびカンボジア王国において土地改良区職員が参加した現地研修会を開催するとともに、現地の水管理組織における参加型水管理の進捗度合いを判定する診断表を作成した。


住民参加による水路整備(カンボジア王国)
 
水管理組織の進展状況 診断表の試行(タイ王国)

−ほ場整備の海外展開を見据えた実証調査−

 コメのバリューチェーンを念頭にその上流における基盤整備の海外展開を調査研究する目的でミャンマー連邦共和国農業かんがい省と協力し、基幹的かんがい施設が整備された水田地域を対象に同国バゴー管区オクトウィン郡にて用排水路及び農道整備と一体となったモデルほ場整備を40ha実施した。  新たな営農方式、農業機械の導入、水利組合の設立の実証を進める。また、同様のモデルほ場整備をカンボジア王国においても推進する。




 本整備に当たってはかんがい施設と農業機械を使用した効率的な営農を促す観点から長辺と短辺の比が3:1となる1エーカ(40a)を標準区画として設定した。また、受益農家のほ場整備への理解の醸成やほ場整備完了後の農地等に係る紛争を未然に防止する観点から我が国の換地処分に準じた手法で事前換地を行い、受益農家全員の同意を得た後に工事を着手した。この他、本整備事例を参考として東南アジア地域への普及を視野に入れた計画設計基準の検討を行っている。


トラクターによる面工事実施状況(ミャンマー連邦共和国)
 
ほ場整備工事完成後(ミャンマー連邦共和国)