東日本大震災後、エネルギーを賢く消費する社会の構築に向け、省エネルギー化対策を最大限推進することが喫緊の課題となっている。また、地球温暖化防止の観点からも、省エネルギー化対策によるCO2排出量削減が必要となっている。他方、農業水利施設は、総電力容量が250万kw以上と大口の需要部門である一方、旧式の施設も多く、省エネルギー化の余地は大きい。
このため当総研では、全国からモデル地区を選定し、効率的な送水計画や、高効率の機器(変圧器、電動機、ポンプ)導入等の地域毎の省エネルギー化対策の検討及びその費用対効果を調査・分析している。
農家の減少や高齢化が進む中で、農業を強くしていくためには、担い手への農地利用集積を進め、規模の拡大を図るとともに、大規模・少数の担い手に地域の水利用が集中する新たな農業水利システムが構築されるよう、農業水利施設についても一層の合理化を図っていく必要がある。
当総研では、供給重視から営農重視の水管理への転換と持続可能な水管理体制を目指す次世代型農業水利システムの構築に向けた調査を行っており、次世代型農業水利システムのモデル構想として、パイプライン化、施設の統廃合、ICT導入等、水利用の効率化を図り、当該用水系統受益が抱える課題の解消を目指した施設整備構想案を提案している。